「づがれだ…」
部屋に常備している飴を口に放り入れ、布団に転がる。
仰向けになると、一本だけ切れてる蛍光灯とご対面。
目に訴えかけてくる白色光と、切れてしまって物言わなくなった、グレーの筒。

眩しくて、目を離したいのに、どうしてだかチラチラと見てしまう。

このつかなくなってしまった蛍光灯も、ごく最近変えたばかりだというのに。
まるでそうするのが当たり前だというように、白い光の横に佇んでいる。

目を閉じる。
思い出すのは銀杏の木。
いきなり来た冬についていけず、木枯らしに追い立てられて黄色の葉を散らす。
まるで雪みたいだと。
ひどく、心の中の情感をかきたてられた。
「あと少し持てば、黄色いクリスマスを迎えられるね」
僕の中の彼女が言う。

僕は昔から、飴を最後まで舐めることができない。
どうしてだか、いつも途中で噛み砕いてしまうのだ。
小さくなっていくあいつを口の中で遊ばせておくことが、どうしてもできない。
そんな話をしたら、彼女は綺麗に笑って、
「あなたは遊ばれる方が好みなんでしょう?」
と言ったのだ。
あぁ、これは、もう増えることのないであろう、彼女との思い出だ。

目を開ける。
白く光る蛍光灯、暗く押し黙る蛍光灯。
たまらず、目を窓の外にやると。
赤と緑がやかましい装飾の中に、目を引く、黄色。はらはらと粉雪が舞い落ちるなか、凛然と輝く銀杏の木。
僕は、がり、と、飴を噛み砕く。

妖怪三題噺 飴、白、同胞
https://twitter.com/3dai_yokai

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